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UI
何でもマルチタッチにすれば良いってもんではない。
- 2008-07-31 (木)
- Posted by ぱんちらす
- IT業界 | PC/モバイル/AV機器 | オタク
さて、左のPCを見ていただきたい。これは、HP社が新しく売り出した、HP TouchSmart PC IQ500というマルチ・タッチディスプレイを使ったPCである。最大の売りは、PC本体がすべて22インチの液晶ディスプレイの中に入ってしまっており、自由に持ち運び、ネットやコンテンツを楽しめるということだ。そして、ワイヤレスのマウスやキーボード、リモコンも用意されているが、ディスプレイを直接タッチすることで直感的な操作が可能であるという、銀行ATM並みにユニバーサルな製品なのだ。
・・・で、ふと思い出したのだが、NECや富士通を初めとしたPCメーカー各社では、もう数年前からまったく同じコンセプトで、タブレットPCというのをビジネス向けに発売している。原理はほとんど一緒で、タッチディスプレイを使うことで、ペンタブレットでファイルに直接書き込みを行ったり、直感的に操作ができるというものだ。んでもってこれ、まったく流行ってないんですよねw(ちなみにHP自身もタブレットPC出してた・・・)
iPhoneやiPod Touchのインターフェースのインパクトが大きかったため、デスクトップPCもタッチでどうだ!と気合いを入れて企画したのかもしれないが、よく考えてみて欲しい。ご家庭で、TVの画面を直接触って操作するなんてシーンは考えられるだろうか?つうか、TV画面に手が届く距離で、TVを見る事ってあるだろうか?はっきりいって、ほとんどねえっしょ。
デジタル・コンテンツを楽しむシーンというのは大まかに2パターンに分けられると思う。リビングで、ゆったりくつろぎながら、大きな画面で楽しむ場合と、出先や移動中や枕元で、手元でこちょこちょ楽しむ場合。マルチタッチというインターフェースが、非常にすぐれた効果を発揮するのは後者の場合であって、前者の場合はどちらかというとリモコン操作が中心になる。もちろん、リモコンがマルチタッチで使いやすいというであれば、その“うれしさ”はわかりやすいが、それは後者のモバイルデバイスと同じ話でしかない。
さて、話をこのHPの新型PCに戻そう。この製品は、端的に言ってしまうと「PC屋の発想で家電を作ろうとして失敗した典型例」だといえる。PCの延長戦的なアプローチで、ディスプレイ直接タッチして操作出来たら使いやすくない?マルチタッチ・インターフェースって流行ってるし良くない?って感じで、あまりきちんとしたマーケティングをしないまま製品化にまでこぎつけてしまったのだなぁという臭いがプンプンするのだ。
それでも、何とか頑張って売ろうとして「「みんな de タッチ」キャンペーン」とかいうキャンペーンまで張っちゃってる訳だ。正直、買う顧客層が想像できない。可能性があるとすれば、一人暮らしの、PC中心にコンテンツを楽しむ若者層(TVを持ってないような人)が考えられるが、そういった人たちはPCを積極的に使いこなしているので、むしろこういう子供だまし的なインターフェースを必要としていない。まだこれが野外に持ち出したり出来るのであれば、ポータブルコンテンツプレイヤーとしてその価値があったかもしれないが、なんというか非常に残念なことに、この製品はコンセントがないと動かない純粋なデスクトップPCなのである。
マルチタッチ・インターフェースは、たしかに革新的なUIだし、非常に大きな可能性を秘めていると思う。しかし、それも使い方やシーンに合った形でなければ宝の持ち腐れになる。このHPのPCは、そのことを(悪い形で)証明する良い例になるかもしれない。
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