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「便所の落書き」から日本を変えれるか?国籍法改正案を巡る攻防戦から

さて何が起こってるか良くわかってない人は、まず下記のまとめwikiを見ていただくとして・・・

国籍法改正案まとめWIKI - トップページ

先週末ぐらいからものすごい勢いで、この国籍法改正に反対する動きが2ちゃんねるを中心に巻き起こっている。元々は、現行の国籍法に対して最高裁の違憲判決が下されたことから、法務省が改正案を出してきて11月4日に閣議決定、このたび11月18日(まあ今日だねw)にめでたく衆院本会議で可決されようとしている案件である。

これだけ聞くと、なんでこんな騒ぎになってるのか不思議に思う人が多いかも知れない。最高裁が違憲判決を出した以上、法律を改正しないといけないのは当然だし、行政がその影響でストップ(事実、現在は同様の申請を全て保留している状態)しているのだからこの状態を解消するのは早い方が良い。それは至極真っ当な意見だ。

では一体みんな、何をそんなにイライラして反対しているのだろうか?簡単に理解していただくには、この動画をチラッと見ていただくのがわかりやすいだろう。

ようは、「日本人の父親の子供であることを証明する必要がないこと」「偽装認知に対する罰則が甘い」ことから、この法案をきっかけにして偽装認知の闇ビジネス(現在ですら、偽装結婚による国籍取得ビジネスは存在する)の横行や、外国人なのに日本国籍という不思議な人がガンガン増えてしまうのではないか?という懸念が払拭されていないのだ。そりゃまあ、それだけ聞けば不安になる。がまあ、一方でこういう冷静な意見も当然ある。

20081117 国籍法改正反対運動の愚

○○○!知恵袋 国籍法は改悪なんでしょうか? - いしけりあそび - Yahoo!ブログ

実運用面で見ればたしかにこの「国籍法」だけとって問題点をあげつらうのは間違っており、民法や公文書偽造などの関連する法律も鑑みた上で判断する方が正しい。実際、懸念されている偽装認知が横行するというような事態が起きるとは、この法案改正だけでは考えにくいだろう。

それではこの騒動は、ネット住民の無知と勘違いでしかないのか?実はオレは、ここに最大の問題があるような気がしてならない。それは、この問題が「まったくと言って良いほど、マスコミ等で取り上げられず」、揚げ句「当の国会議員達ですらよく知らないままに」、国会に提出されひっそりと可決されようとしていることに他ならない。つまり、国民的な議論も経ず、十分な検討・検証も行われぬままに「自分たちの将来を不安視させる法案」がするり可決されようとしていることに対する言いしれぬ疑心暗鬼のようなものが根っこに存在しているのではないだろうか。

じつはこのような問題は、日本の政策立案過程においては非常に良く見られる光景となってしまっている。青少年ネット規制法やこんにゃくゼリーの問題が話題になった時を思い出してもらいたい。今回の騒動も、構造として非常に良く似ているのではないだろうか?一部の議員やマスコミが、多くの普通のネット住民と反対の立場をとり、それがさも国民全体の世論であるかのように振る舞われ、過度な規制や異常な政策が次々と成立していく・・・しかも今回は、事前にはほとんど騒動にすらならずに、ひっそりと採決にまで持ち込まれようとしたから、なおタチが悪い。

昔であれば、おそらくこのような感覚は、個人が持ち得たとしてもそれを共感する相手もいなければ発言する場所もなかったために、「オレがおかしいのかな?」という感覚へと収斂されていったのだろう。情報源が限られていた時代であれば、それは必然だ。しかし今我々は、インターネットというツールを手に入れてしまった。インターネットが媒介となることで、マイノリティー的な意見(実際にそうかどうかは関係なく、社会的な文脈でのマイノリティー)の共感と増幅が引き起こされ、臨界点を超えた時にそれが騒動(や一部は炎上という形)として表面化しているのだと思う。ここに、日本特有のマスコミの機能不全という問題が重なり、結果としてネット住民の意見の総体的なものが、いわゆる世論と言われるようなマスコミの発信する情報とことごとく相反する方向へと突き進むことになる。

かつては、これを称して「便所の落書き」と言われていたわけだ。なぜなら、それは語られるだけで何の動きも社会的反応も引き起こさず、ただそこ(ネット上)にあっただけだからだ。しかし、「便所の落書き」はある瞬間から「ただの落書き」であることを止め、行動することを覚えた。4・26の長野や人権擁護法案、今回の国籍法改正を巡っても、「便所の落書き」はものすごいスピードで意見を導き、具体的活動にまで結びつけた。そして、行動はたしかに世の中に影響を与えつつある。このどうしようもない閉塞感におおわれた日本において、これは数少ない希望の光だとオレは思うのだよ。「便所の落書き」でしかなかったものが、行動することで、たしかに何かを変えつつあるから。まだまだ小さい動きかも知れないけれどもだ。

評論するだけで終わってしまうと、何様のつもりだと言われてしまうので、今回の国籍法改正に対するオレの意見も書いておく。その前に、ちょっとだけ冷静になって下記のエントリを読んでほしい。今回の問題の背景が非常に丁寧に述べられている。今回の判決では最高裁の各判事ごとに意見がわれた(結果として、違憲判決を支持する方が多数派となり、違憲判決になった)。

国籍法改正について語るための基礎知識(1):違憲判決の図解 - 半可思惟

国籍法改正について語るための基礎知識(2):裁判官たちは何を争い、何を国会に託したのか - 半可思惟

しかし注意していただきたいのは、近藤補足意見にも見られるように、これはあくまで裁判所の議論であるということだ。「国籍法3条1項が違憲であるとしても、裁判所原告国籍を確認してしまって良いのか?三権分立からするとまずいのではないか?」という第二の争点とも関わるが、裁判所は、あくまで法律を解釈し適用し個別の法的紛争を解決するための機関である。

したがって、新しい政策を打ち出すということはできない(せいぜいが可能性に言及するくらいのものである)。立法論は国会でやらなくてはならない仕事なのである。そしてこれは選挙権を有する国民の仕事でもあるだろう。

重要なことは、「最高裁は違憲判決を出したが、あくまで裁判所としてである」ということだ。その後、この結果を踏まえてどのような国籍法改正案を作成するか、という事まで最高裁が指示したわけではない。それは国会の仕事であり、最高裁はこの点で三権分立を犯しているわけではないと思う。問題の本質は「その国会がろくな仕事をしなかった」という事に他ならない。

行政の停滞を焦るあまりなのか、それとも他の狙いがあるのかは知らないが、国籍法という国の根幹に関わる問題について、国会では十分な審議も国民への説明もなされることなく、「最高裁が言ったから、父親の事後認知もOKにしました」という何の熟慮もない法改正案で押し通そうとしたとしか思えない。これでは、国会の仕事、果ては国会議員の仕事を放棄してしまっているのと同じではないか?

だからオレはこの国籍法改正については反対の立場をとるし、強引に法案成立を推し進めようとする連中には強く抗議の意を表さざるを得ない。国家の根幹をなす法律であるにも関わらず、十分な議論も周知も合意形成なされぬまま、まして主権者たる国民が不在のままに法案改正がなされて本当に良いのか?例え結論が同じであったとしても、十分に慎重な議論と周知がなされてしかるべきだし、法案を推進する側には、国民の間にあるこの不安に対する説明責任があるハズだ。まずはそれをキチッと果たすところからやってくれよ、頼むから。

無論、こんな現象は今にはじまったことではない。この国では、官僚が政策を立案し、官僚がそれを実行するという官僚主義が明治以降ずっと続いてきた。政治家は、その過程で自らの支持母体の利権を主張し、綱引きとバランス調整をやっていたに過ぎない。それをマスコミが巧みに演出し、国民は自らの責任の重さを自覚もせずに、ただ騒いだり流されたりするだけだった。要するに愚民だったわけだ。そして、多くの人は今も大して変わっていない。

でも、これからもそうだと思うんじゃねーぞ。少なくとも、オレは絶対にそうなりたくない。ならない。オレだけではない、少なからずの思いを持つ人間が、民主主義国家の主権者としての国民の意識に目覚めつつある。

◎ 政 治 ◎ 「国籍法」改悪:日本もまだすてたものではない « 城内実のとことん信念ブログ

集まってくださった人たち、お一人お一人と固く握手をして、「こうして行動する君たちは日本の誇りだ。日本もまだまだ捨てたものではない。」と語りかけ たかったが、時間もなく、さらっとしたかお話できなかったのが残念だ。今みなさんに私の心の底からの言葉をささげたい。「本当にありがとう。感動した!」

そう考えてるのがオレだけじゃなく、少しとは言え同じような思いをもってる人たちがいることを、4/26の長野以降、とても強く実感しているよ。だから、まだ日本も捨てたモンじゃない。きっと変わっていけるし、変えていけるんだと信じてる。

「便所の落書き」から日本を変えることは、決して与太話でもネタでもなんでもない。今、現実に起きつつあることなんだと改めて思う。

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pingback from 日本の“政治”に関する空気を変えたい→「政ゆ会」の結成! - 東京ドーム地下6階 09-02-24 (火) 21:38

[...] 一番最初のきっかけは、去年の4月26日の長野だった。このブログでも書いたが、Free Tibet!を合い言葉に巻き起こったムーブメントは、これまでのネット発の運動に新たな1ページを付け加えた。その後の毎日変態新聞騒動や国籍法改正騒動でも見られたように、ネット発のムーブメントが「ネットの中だけ」で終わることなく、現実の社会に対して何らかのアクションを起こすようになったのだ。これはネット社会と現実社会が、明確に別々のものとして分離されていた10年ほど前では考えられなかった事態だと思う。逆に言えば、それだけネットというものが一般的になり、社会の中に溶け込んできたということでもあるのかもしれない。 [...]

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