- 2008-10-01 (水) 20:26
- Posted by ぱんちらす
- IT業界 | PC/モバイル/AV機器 | お仕事
ちょっと前のことになるが、やたらとメディア(といっても、日本のだけ)が「iPhoneが如何に売れてないか」という記事を発信しまくっていた。
Not quick a Nine » iPhoneネガティブキャンペーン開催中
まあ持ち上げておいて落とすというのは、日本のマスコミの伝統芸能みたいなとこがあるので、純粋な一iPhoneユーザーとしては「何この露骨なネガキャン( ´,_ゝ`)プッ」って感じで生暖かく見守っていたのだが、どうもこれは単なるマスコミのいつもの馬鹿騒ぎというものでなく、もっとヤバイ事象のような気がしてきた。いやなんというか、臭いもの・理解できないものに蓋をするという典型的な日本の悪習の一つが非常に良く表れている事例なのではないかと思った訳です。
さて、まず本当にiPhoneが売れていないかを見てみましょう。下記のエントリーが非常に参考になります。
iPhone ≪アップル“敗戦”≫ を数字で読み解くと… – Batayan’s Log
3ヶ月で20万という数字は、完全に成熟しきった日本市場において、3大キャリアで最も勢力の弱いSoftBankの端末で、しかも販売奨励金モデルが取り消されて端末の買い換えサイクルが長くなっているということを加味して考えると、ぶっちゃけ大健闘ではなのではないかというのが正直なところだ。つーか、当のAppleですら2008年中に世界で1000万台という目標(これでも充分に積極的だと思うが)を掲げているのに、3ヶ月で国内100万台売れなかったら失速だとは、どこの馬鹿なアナリストがこんな事をおっしゃったんでしょうかねぇww
冷静に考えてみれば、iPhoneはその性格上、日本市場ではもっと苦戦してもおかしくなかった。ぶっちゃけ、携帯電話という端末の完成度としてみれば、現在の日本のケータイの方が遙かに使い勝手が良いし、ユーザーも慣れている。また新しいコンセプトの製品というのは、得てして登場の初期においては市場で認められにくい。いわゆる破壊的イノベーションってやつだ。
TechCrunch Japanese アーカイブ » iPhoneはSymbian OSより上になるか?
ところがどっこい、我が国の報道やニュースを見ていると、当のキャリアさん自身がこんな事言ってしまったりしてる訳で、なんというかお先真っ暗、ガラパゴス万歳って感じなのである。つーかもう、マジでこの国からはイノベーションなんて生まれないんじゃないかと思ってしまうほどに、絶望的だ。
iPhone不振は「想定内」とKDDI小野寺社長 「スマートフォンよりケータイの方が使いやすい」 – ITmedia News
苦戦のiPhoneに“包囲網” au「Touch Pro」発売へ、ドコモは「BlackBerry」新機種 – ITmedia News
純粋な一ユーザーとしてのオレの本心は、霧笛望さんの感触と近い。特に、PCをメイン端末として使っている者にとってiPhoneは極上の体験を提供してくれる。たしかに導入や初期設定は泣きたくなるくらいめんどくさいが、それを乗り越えると非常に楽しい。
PCがメインだって?だったらiPhone買ってみな!:霧笛望のはぐはぐ電脳小物 – CNET Japan
オレもようやくカレンダーやアドレス帳、ブックマークなんかをPCとiPhoneで同期するようになって、すげえ便利だし、めちゃくちゃ楽しい。生産性を向上だけでなく、クリエイティビティすら刺激され、iPhoneとアレを連携させればこんな事が出来るんじゃとか、ものすげー妄想が膨らんでいるw しかし、割合リテラシーの高いオレのような人間でなければ、なかなかこの境地には到達できないだろうなとも同時に思う。
そこへきて、先日ついにiPhone対抗馬としての注目の高いGoogle Androidを搭載した、世界初の携帯電話T-Mobile G1が発表された。
「T-Mobile G1」は中身で勝負–初の「Android」携帯が持つ可能性:スペシャルレポート – CNET Japan
Googleの「Android」を採用した安価な携帯電話「G1」が世界で初めて登場、YouTubeなどのあらゆるサービスを利用可能に – GIGAZINE
【解説】初のAndroid携帯電話「HTC Dream」に、iPhoneほどのインパクトはなし : Googleウォッチ – Computerworld.jp
Andoroid自身の新規性は、それほど高く評価されておらず、なんというかスマートフォンの新しいのが出た、ぐらいにしか今のところは受け止められていない。しかし、Androidのインパクトは、iPhone以上に日本の携帯電話屋さんには深刻だ。それは、AndoroidがiPhoneほど完成度が高くなくオープンであるがゆえに、現状の携帯端末の根っこを根こそぎ置き換える可能性があるからだ。
Android・G1は「Googleフォン」「Gフォン」と呼ぶにはふさわしくない – Batayan’s Log
Speed Feed Androidケータイが、「キタ━━(゚∀゚)━━ッ!!」 : ITmedia オルタナティブ・ブログ
現在の携帯電話端末の開発においては、ソフトウェアの開発費がほとんどを占めると言われている。実際、チップセットやMPUはほぼデファクトが固まっており、OSやその上にのるミドル、アプリなんかの開発費が膨大なことになって日本の携帯電話屋さん(注 実際に電話を作ってるメーカー)を苦しめている。端末価格の高騰をさけたいキャリアからしてみると、Googleが開発するオープンなPFってのはすごい魅力的に見える。しかも、オープンで完成度が高くないがゆえにキャリア独自サービスの実装も可能なため、iPhoneを受け入れるよりは許容しやすい。
そうすっと、低価格のそれほど高機能でないケータイはAndroidで。んでもって、より高機能な端末は、端末メーカーが独自で作り込んだiPhoneみたいなヤツで、という棲み分けがキレイに出来てしまうのだ。このとき、日本の携帯電話屋さんが作ってる携帯電話は残念ながらAndroidによって駆逐される、たいして高機能でないケータイになる。何故って?だって、日本のケータイってどれも、基本機能は共通化されてるでしょ。ケータイ・メーカーの独自技術やサービスが差異化要因になってない、つまりはキャリアの中では完全にコモディティ化してるのだ。
ここまで語ってみて、「あれ?これってどこかで見た風景じゃね?」と思った人。その通りです。まだPCが国産品でバリバリだったころに、DOS/Vという共通規格とWintelの登場によって瞬く間にそれまでの国産PCやワープロがコモディティ化され、日本のコンピュータメーカーのほとんど全てが単なる組み立て屋さんになってしまった歴史、あれとそっくり同じ歴史をたどりそうな臭いがプンプンしてるわけですよ。
さて、ここら辺で全体を整理して、改めて、日本の携帯電話屋さん達がどうなるかを考えてみようと思ったのだが、長くなったのでまた今度にするw しかしiPhoneやAndroidoがもたらすインパクトを真剣に捉えようとせず、現状満足で進むような会社にはもはや未来はないと言ってしまってさしつかえないだろう。イノベーションを生み出すために重要な事は、決して安定を望まず、不確実な何かに挑戦することだ。試行錯誤や新しい取り組みも出来ず、まして他社が出してきた画期的製品を素直に評価することも出来ないようでは、それはもうモノを作るメーカーとして、企業組織としての根本的な能力が欠落していると言わざるを得ない。そして残念な事に、日本の携帯電話屋さんのほとんどは、長らくユーザーを見ずにキャリアの方を向いてものを作り続けて来たために、こういった新しいものを生み出す上でもっとも大切な何かを無くしてしまったように思えてしかたがない。
試行錯誤する勇気 - スマートフォン vs. 日本型携帯 – Tech Mom from Silicon Valley
携帯電話に限らず、ここ数年の日本が陥っている苦境は、海部さんのいう「試行錯誤する勇気」を、ほとんど誰もが無くしてしまったからではないだろうか?現状を受け入れ、妥協し、ほどほどで良い、高望みしない、今の生活が続けば良い・・・こういった思考からは、時代を切り開くような新しい考えや動きは絶対に生まれない。安定的な成長が約束されていた時代であれば、それらは許されたかもしれないが、現在私たちや日本を取り巻く環境は、まったくもっと不透明で不安定な世界なのだ。
話がそれてしまったが、重要なことは新しい何かを生み出すための試行錯誤を繰り返す事。その勇気。そして、そのベースにあるのは、現状のままではいけないという危機意識だと思う。こういった健全な危機意識を共有できている組織は強いし、外部動向の変化に敏感だ。任天堂の下記の報道は、言われてみれば当たり前なんだが、彼らがこの健全な危機意識を共有しつつ、新しい何かを生み出さなければならないというプレッシャーと絶えず戦っていることの表れではないだろうか。
ITmedia News Trackback:「任天堂、カメラと音楽プレーヤー付きの新DS投入」の報道
なんか色々語り残した事もいっぱいあると思うので、その辺は改めて書こう。
- Newer: いわゆる「MAD」について思っていること
- Older: 世界ヘヴィ級チャンプの召喚
Comments:0
Trackbacks:0
- Trackback URL for this entry
- http://www.tokyodome-b6f.com/2008-10-01/panchirast-179/trackback/
- Listed below are links to weblogs that reference
- iPhoneネガティブキャンペーンとAndoroidと日本の携帯電話屋の未来 from 東京ドーム地下6階
