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Googleストリートビュー問題から見るネットのあっちとこっちの温度差

某首相が何をトチ狂ったか、いきなり辞任とか表明して、世の中それ一色になりつつありますが、そんな中(時系列はちょっと前後しますが)、MIAUの「Google ストリートビュー”問題”シンポ」が無事終了しました。平日のど真ん中だったのですが、それなりの人が集まったみたいで有り難い限りではあります。

でまあ、シンポの内容自体は下記のリンクとかを参照していただくと、当日の雰囲気も含めてよくわかっていただけると思う。つーか、下のTeckTalkManiacsの記事は詳細すぎw リアルタイムで打ってたのかな、これ?こんな事されたら、来る人減っちゃうじゃんか~(いやもちろん、冗談ですがw)

「ストリートビュー」はどこが問題か、MIAUシンポジウムで議論

シンポジウム「Google ストリートビュー”問題”を考える」 - TeckTalkManiacs

さてネット界隈の人間をやたらと「日本の塀の高さ」だとか「オプトイン・オプトアウト」だとかに詳しくさせたり、類似の(全く注目されてこなかった)サービスに注目を集めさせたりしたGoogleストリートビューことGSVですが、散々世の中を騒がせたわりには、具体的な問題は今のところあんまり起きてない様子。個人的には、こういったある種刺激的なサービスが出るたびにヒステリックに反応して叩くのはどうかと思います。ただでさえ閉鎖的で、現状維持志向の多い日本でそれやったら、新しいサービスなんて生まれる訳ないだろ?もっとこうイノベーションに寛容な社会であって欲しいと思うのだが・・・やっぱ日本じゃ難しいのかなぁ・・・

ところで、GSVの問題については、前述のシンポやいろいろなところで問題の論点は出し尽くされてきた感がありますが、結局のところは、Googleが(特に日本の)ユーザー側の空気を読めてなかったってのが一番大きいんじゃないかなと思ってます。類似のサービスが既にいろいろあり、いくつかの細やかな配慮をすることで、それらは既に社会で受容されている。しかし、今回のGoogleがやった事を見ていくと、そういった「細やかな配慮」を見事なぐらいにすっ飛ばしてサービスインしちゃってる感じを受けます。結果、生理的な拒絶反応も含めた、いろんな批判が巻き起こったと。

この背景には、実は我々ユーザーの側が、Googleのイメージを必要以上に良いモノと評価していた事が関係しているのではないかと思います。

グーグルはストビューで「よそ者」化する:佐々木俊尚 ジャーナリストの視点 - CNET Japan

グーグルは1990年代末に設立されて以来、「技術者中心の会社である」「西海岸のTシャツ族」「ネットユーザーと同じ立ち位置」といった印象を普及さ せることに成功してきた。それはかなりの部分幻想だったかもしれないが、しかしその幻想の中で、多くのユーザーは自分とグーグルが対等な立場にあるような 雰囲気、つまりグーグルに対してある種の「身内」的な感覚を持つようになった。「グーグルは何でも理解している」という感覚だ。

佐々木さんが上記のブログでおっしゃられているような感覚は、インターネットを普通に利用するユーザーには何となく共感できる感覚ではないでしょうか?もっと簡単に言うと、Googleって、ユーザーにとって「良いサービス」を提供してくれるし、「あくどく金を巻き上げたりしない」し、「先進的」だし、「格好良い」し、「インターネット企業の代表」で「時代を切り開く新しいスター」だよね、というような感覚です。別に、この印象が間違ってるわけではなく、事実Googleは、これまで先進的なインターネット・サービスを次々と送り出し、ユーザーに利便性と新しい経験をもたらしてきました。

しかし、実はそれって幻想だったんじゃね?と多くの人に思わせたのが、今回のGSVがここまで大きな話題になった原因の一つだったのではないかと思います。Googleに対して抱いていた期待や印象が良いモノだっただけに、なんかこう裏切られた感じを受けてしまった・・・信じてたのに裏切られた(;つД`) ってんで、感傷的な反応が多くなってるのかもしれませんw

でもさあ、みんな勘違いしてるっぽいからはっきり言っちゃうけど、Googleって最初っからそういう会社だったんですよww たまたま今までは、向いてる方向がユーザーと同じだったり、影響がネットのあちら側で閉じていたりしたので、結果的に摩擦が少なかっただけで。彼らのベースにあるのは極めて純粋な「技術信仰/至上主義」だし、その行動原理は「世界中の情報を整理し、アクセス可能にして使えるようにする。-Google’s mission is to organize the world’s information and make it universally accessible and useful.-」というかの有名なミッションに極めて忠実。普通の企業から見ると、その様は狂ってるとしか思えないぐらい。だから彼らはおそらくこれから先も、同様のサービスを空気を読まずにガンガン投入して、ネットのこちら側とでも言うリアル世界との間で軋轢を繰り返すことになるだろう。そして、残念なことに、彼らはそうやった上で、自分たちの我が儘をリアル世界に貫き通すだけの力を既に持ってしまってるんだよね。それは、市場に占めるシェアだったり、技術そのものだったり、資本力や異常に増強した法務部隊だったりするわけだ。

今回のGSVが”問題”となった根っこに潜むのは、今までわりと別々に存在していたネットのあちら側とこちら側の世界(by梅田望夫)がリンクされる中で、それぞれの世界の温度差(含 ビジネス習慣、社会ルール等)みたいなものが、実はかなり大きいということなのではないだろうか?そして、あちら側の世界のジャイアンであるGoogleクンが、こちら側の世界に出張ってきた揚げ句、己の我が儘を力に任せて押し通そうとしてこちら側のいろんな人から反感買ってる、という図式が一番しっくり来るのではないかと思うのです。

さてここで一つ、今回のGoogleと比較したいのがAppleだったりします。アンカテの以下のエントリーは、非常によくまとまっていて、なおかつこの問題にも非常に深く関係していると思います。

ネットの重心とリアルの重心の中間 - アンカテ

iPhoneの自由とオープンさは最上級でなくて常に比較級というエントリに書いたことはグーグルにもあてはまるような気がするので、それを一つの抽象的なモデルにしてみたいと思う。

つまり、この両社の戦略は「ネットの重心とリアルの重心のちょうど真ん中」という位置をキープすることであるということ。

essaさんは「ネットの重心とリアルの重心のちょうど真ん中」とおっしゃってますが、これは「ネットのあちら側とこちら側のバランス」と言い換える事ができると思います。2つの世界の間でうまくバランスを取りながら、あちら側に近いユーザーからの支持を獲得しつつ(同時にシェアを拡大する)、こちら側との調整をうまくお金に繋げる。AppleがiPod以降にとっている戦略は、このモデルで非常にうまく説明できると思います。そしてまた同時にAppleは、この戦略をかなり意図的に実施し、現実にうまく成功させてもいる。少なくとも私にはそう見えます。

ところが、今回のGSVで少し見えてきたのは、GoogleのスタンスがAppleのような、ある種の高度に戦略的(ずる賢いとも言うw)なものとは違ってるのではないかという事です。端的に言ってしまうと、彼らはもっと純粋に、まっすぐ自分たちの道を貫こうとしていて、小賢しい戦略や立ち位置などはあまり気にしていない。ある意味、非常に漢らしい生き方ww そしてこれまでは、結果論としてそれがちょうど良いバランスをもたらしていたけれど、GSVではそれが逆に働いてしまった。まあGoogleの側から言わせると、「お前らが遅れてるだけ。」という感じかもしれませんが。

そこら辺のところが、オープンと非オープンを意図的に使い分けるAppleとの大きな違いなのでしょうか。逆に言ってしまうと、その意図的な使い分けで稼ぐことを出来ないGoogleって会社は、案外もろい存在なのかもしれない。Appleの、下記のような非常にえげつない、極めて高度でずる賢い戦略と比較すると、どうしても純粋まっすぐ君なイメージが強い印象を受けてしまいます。

iPhoneの自由とオープンさは最上級でなくて常に比較級 - アンカテ

iPhoneにはいろいろ不自由があって、世界一自由でオープンなプラットフォームとはとても言えない。

しかし、 iPhoneの中の自由と不自由のポートフォリオは、計算されたものであり状況に応じて変化していけるものだ。金になって他に現実的な選択肢が無い所で は、アップルはユーザに不自由を強いて金を吐き出させる。金にならない所では、ユーザに自由を与えサードパーティに競わせる。

そう考えてみると、実はGoogleと言う会社は、あれだけ高度な技術力を持ち、魅力的なサービスをいくつも提供しているにも関わらず、収益モデルは未だに広告モデルだけだったりする事に気づきます。つまり、彼らはビジネスのイノベーションとしては、何ら革新的なものを生み出せていないのです(まあ、そもそも生もうとすら思ってないかもしれませんがw)。だとすれば、Googleに立ち向かうのはそれほど難しい話ではない。広告を、つまりはAdsenceを殺せば良いだけなんだから、話は早い(無論、今からそれをするのが技術的にもビジネス的にも、すげー難しいのは承知の上ですw)。

だからまあ、Googleが広告ビジネス以外のビジネスモデルを見つけられない(見つける気がない?)のであれば、そんなに心配する必要はないと思うのですよ。彼らの元にデータが集約されたって、することはそれに対して広告自動付与するぐらいで、それで直接損するのは新聞とかTVとか電通ぐらいのもんだしw

ただし、Googleが今のような純粋まっすぐ君から普通の会社になってしまった時は、注意が必要です。その時彼らは、「世界中の情報を整理し尽くす」というミッションよりも、持っているデータを最大に活用して利益をあげるための”何か”を優先し始めるでしょう。そしてその際には、言葉巧みにユーザーに取り入って、いつの間にか金を巻き上げる、とてもずる賢いアプローチを取ってくることは間違いないと思います。そうなってしまうと、何が問題がすらわからないまま、Googleに支配される世界の到来です。そう考えたら、今みたいなGoogleの方が、世界にとっては分かりやすくて良いと思うんだけど、どーでしょうか?

※ ちなみに、今回の騒動で大概の反対論は割とどーでも良いなぁと思ってたんだが、これだけはマジで問題だと思った。いやまあ、GSVがあるからってだけではないんですけどね・・・とりあえず、バイクカバーと盗難保険はきちんとかけよーねw

小林ゆきBIKE.blog: 自宅でバイクを保管している人の視点から見たグーグルストリートビューの問題点の整理

Comments:2

macot 08-09-03 (水) 23:39

田舎に住んでる身としては自分の生活圏がまるで範囲外なので、温度差っつーかとてもヒトゴトな感じです。自分の知らないトコロを見るのも楽しいのだろうケド、それで時間をつぶすってほどのものでもないしなー。今のところはこの問題はどっちに転んでもいいと思ってるんですが、どっちに転ぶかはちょっとだけ興味がある。

sakochin 08-09-05 (金) 11:18

都会に住んでる身としては、GSVの対象になっていてもその場所自体にこだわりがないので、やっぱりとてもヒトゴトな感じです。集合住宅かつ賃貸ですからな。
ただ、家の写真はどうでもいいが、Googleに自分の情報が集められるというのには嫌悪感がありまっせ。Googleは検索のみ!GoogleDeskTopもGMailもありえない。
世界中の情報がGoogleに集まる前に日本が集めてしまえ。

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