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さらば、梅田望夫 -「ウェブ時代をゆく」「Web時代 5つの定理」を読み終えて

ども。睡眠障害気味のサラリーマン、パンチラストです。今日はちょっと、マジメなモードですw

梅田さんの最新著作「Web時代 5つの定理」が発売されました。これをもって、彼はしばらく著作業からは距離をおくらしい。昨年末に出た「ウェブ時代をゆく」とで合わせることで、おおよそ語るべき事を語ったというところではないだろうか。しばらくは、本業であるコンサルティングに立ち戻り、サバティカルな生活を送るそうだ。・・・正直、うらやましいが、まあオレもつい半年ぐらい前まではそんな感じだったので、文句は言わないw

さて、提題の2冊の本を改めて読んだ。「Web時代 5つの定理」自身は、ざっと斜め読みしただけだが、「ウェブ時代をゆく」は結構、がっちり読ませてもらった。実は、この書評自体は随分前に書き上げていたのだが、今改めて見直した上でここに掲載しようと思う。

なんだかんだ言って、正直オレは(良かれ悪しかれ)この人に多くの影響を受けてしまったなぁと思う。今の会社に入り梅田さんと話す機会を持って、ある意味で人生を大きく変えるきっかけになったように思う。実際、「ウェブ進化論」が世に出た約2年ぐらい前から、期を同じくして(というか、多分に感化されて)、自分の将来や今後のことについて悩み始めた訳で・・・なんというか、そういう意味でもとても印象強いw この時代、この日本にとって必要であり、そしてオレの人生においても重要な一つの足跡だったのだろうと思う。

正直なところ、実は「フューチャーリスト宣言」あたりで、梅田さんのオプティミズムと問題認識のズレ(後で詳述)に、なかば呆れていたというのが正直なところで、この人の本はもう読まなくても良いんじゃないかと思っていた。しかし、改めて「ウェブ時代をゆく」を読んで、ようやく梅田さんとオレの問題意識がなぜずれていたのか、そして今後とも交わることがないであろうことをはっきりと確信することが出来たと思う。

梅田さんは、決して間違ったことを述べているわけではなく、今の時代を極めて正確に捉えており、そしてわかりやすい言葉で表現してくれている。今起こっている変化を捉えるという意味では、本書も「ウェブ進化論」と同じスタンス・趣旨が貫かれており、非常にわかりやすい。というか、逆に言ってしまうと、本書は半分以上の内容が「ウェブ進化論」と同じであるw そういう意味で、池田信夫先生の指摘は極めて正しい。オレのようにひねくれた読み方が出来てしまう人間や梅田信者以外の方には、買ったところで大した価値はないと思うのであまりお勧めはしないww

梅田さんが、本書で掲示している大半の内容は、大変化が起きている今の時代の中で「個人として」どう生きるのか、ということに費やされている。前著でも述べた「学習の高速道路」が整備され、「その先の大渋滞」が起こっているという世の中で、どう生きていけば良いか。彼なりの人生観と生き方から導き出された解答として、「高く険しい道を行く」か「けものみち」で生きるかということを提示する。また、より具体的なアドバイス(人生観の思考法、組織とのかかわり方、職業観、等)にも踏み込んでいる。純粋に共感できる人にとっては、とても素直に受け止められるのだろう。

しかしオレは、あえて問いたい。「高く険しい道を行く」のはもちろん、「けものみち」で生きるのも、相当の覚悟と度量がなければ困難な道だ。梅田さん、貴方はそこをを誤魔化してはいませんか、と。

IT革命の進展とそれに伴うグローバル化は、ものすごい勢いで世界を変えつつある。それは間違いない。しかし、それは決して我々にバラ色の未来を約束するものではない。いや、少なくとも現代の日本に生きる我々にとっては、あながち歓迎できるものではないだろう。なぜならそれは、これまであった既存の体制や生活様式を破壊し、新たな価値構造への変換をせまるものだからだ。そして、これまで右肩上がりの成長の中で培われてきた日本という国の、ある種の安穏とした空気は終わりを告げるだろう。もう、ただ普通に生きているだけで、それなりの生活と幸せが保証された時代ではなくなるだろう。

「ドラッカーの遺言」にある、彼の最後の日本人へのメッセージはこうだ。
「情報化が進展する新時代の世界経済のもとで、最も苦労する国は日本である」
「だが、その苦労を乗り越えて真のリーダーシップを発揮する国もまた日本である」

この言葉を真摯に受け止めるならば、我々の前に立ちふさがっているものは、楽天的なオプティミズムなどで捉えられるものではない、絶望的なまでに高い壁だ。しかし、それを乗り越えてでも生きていかなければならない。楽天的なオプティミズムの考え方は、この社会を「個人として」生きる上ではたしかに役にたつかもしれない。しかし、日本あるいは日本人という視野に立ったときに必要なものは、深い絶望感の淵から立ち上がる執念のようなものではないだろうか、とオレは思う。

きっと、切込隊長が言うように梅田さんは絶望したことがないのだろう。人生や将来に絶望し、希望も何もなくなった中で、それでもなお立ち上がる強靭さこそが、今を生きる日本人に求められるものではないだろうか。シリコンバレーの開拓者精神を表した言葉よりも、勝てぬと知ってなお守る者のために命を投げ出していった特攻隊の言葉の方が、誇りと生き様に全てをかけた武士道の生き方の方が、現代日本人に真に求められているものではないだろうか、オレは思う。

残念なことに、オレはひねくれ者だし、2ちゃんねらーらしく典型的なアイロニーだw 物事を皮肉まじりにしか捉えられないし、なんというか根本的なところで諦めにも似た感情がある。「どうせ変わらない」ってやつだw こんなオレが、どうがんばったらアングロサクソンの、シリコンバレーの開拓精神を貫けるというんだい?

しかし今オレは、自分がアイロニーであることを否定的に捉えるつもりはない。物事を皮肉まじりにしか捉えられず、素直じゃなくて捻じ曲がっているけれども、何でもネタにしてしまいがちだけども、それでも、そういう事を通してでも何かを受け入れて、そして乗り越えて生きていこうと思う。アイロニーであることは、この生きにくい現代において、生きにくい日本において、それでも必死に生きるための弱者のわずかな抵抗なんだと思っている。

そして、オレは多分、ナショナリストでもある。きっとその部分が決定的に梅田さんと異なるのだろう。どれほど絶望的で、情けなくて、信じられないことばかりがこの国で起こっていても、この国を見捨てて自分だけが生き延びることを考えることは出来ない。だから、どんなにひどい状況の中でも、この国にあって、この国を良くするために何がしかの行動を起こしていきたいと思っている。

そういう意味で、梅田さんとオレは決定的に生き方が違うのだろうと、本書を読んで改めて思った。彼のことは尊敬しているし、すごい人だと思う。しかし同時に、相容れないのだと今はそう認識している。でも、梅田さんの言う生き方とは全然違うけど、アイロニーでナショナリストなオレのような生き方も、ウェブ時代を生きる日本人の生き方としてはアリなのではないかと、思ってる。

いつか、どこかで再び道が交わることがあったら、こういう価値観を本人にぶつけてみたい。それが、オレ流のウェブ時代の生き方だと、1年以上悩んでようやくたどり着いた気がする。

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